シャーマンの革新の政治経済学の関連著作
**ジョセフ・シュンペーター 「資本主義・社会主義・民主主義」**
1940年に出版された本書は、オーストリアの経済学者ヨーゼフ・シュンペーターによる資本主義の分析と、その将来に関する考察をまとめたものです。シュンペーターは、資本主義を単なる経済システムではなく、絶えず変化し続ける「創造的破壊」のプロセスと捉えました。
彼の理論の中心には、「イノベーション」と「起業家」という概念があります。シュンペーターにとって、イノベーションとは、新しい製品、生産方法、市場、資源の組み合わせなどを導入することであり、経済成長の原動力となります。そして、起業家は、リスクと不確実性を引き受けてイノベーションを実現する主体です。
シュンペーターは、資本主義の成功は、このイノベーションと起業家精神によって支えられていると主張しました。しかし同時に、資本主義は自身の成功によって、その基盤を自ら蝕んでいくというジレンマを抱えていると指摘しました。
**ダグラス・ノース 「制度・制度変化・経済成果」**
1990年に出版された本書で、アメリカの経済史家ダグラス・ノースは、経済発展における制度の重要性を強調しています。ノースは、制度を「ゲームのルール」と定義し、人々の行動に制約とインセンティブを与えることで、経済活動に大きな影響を与えると主張しました。
ノースによれば、効率的な制度は、取引コストを削減し、不確実性を低減することで、イノベーションと経済成長を促進します。逆に、非効率的な制度は、レントシーキングや腐敗を招き、経済発展を阻害します。
ノースは、歴史的な事例研究を通じて、制度が経済発展に与える影響を分析し、制度変化が漸進的なプロセスであることを示しました。また、制度の進化は、政治的・社会的要因によって大きく影響を受けると指摘しました。
**マントン・オルソン 「国家興亡の謎:経済成長、停滞、そして社会硬直化」**
1982年に出版された本書で、アメリカの経済学者マントン・オルソンは、長期的な経済成長と衰退の要因を探求しています。オルソンは、安定した社会では、時間が経つにつれて、様々な利益集団が形成され、自らの利益を守るためにロビー活動やレントシーキングを行うようになると主張しました。
このような利益集団の活動は、資源配分を歪め、イノベーションを阻害することで、経済成長を阻害するとオルソンは指摘しました。彼は、この現象を「制度硬直化」と呼び、長期的な経済衰退の主要な要因の一つと位置づけました。
オルソンは、戦争や革命などの大きな社会的混乱が、既存の利益集団の力を弱体化させ、制度を刷新することで、経済成長を促進する可能性があると主張しました。