## シジウィックの倫理学の方法の話法
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直観主義と経験主義の統合
シジウィックの倫理学は、道徳哲学における二つの主要な立場、すなわち直観主義と経験主義を独自の仕方で統合しようとする試みとして特徴付けられます。彼は、道徳的判断の究極的な根拠は人間の理性に直接的に知覚される自明な道徳原理に求められるという点で直観主義に共鳴します。
同時に、シジウィックは経験的な観察の重要性を軽視しません。彼は、具体的な道徳的判断や社会規範を分析する際には、人間の心理や社会の現実に関する経験的な考察が不可欠であると主張します。
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反省的均衡による方法
シジウィックの倫理学の中心的な方法論は、「反省的均衡」と呼ばれるプロセスを通じて道徳的真理を探求することにあります。このプロセスは、私たちの直観的な道徳的信念と、経験的な事実、論理的一貫性、説明力などの合理的な基準との間で、絶え間ない調整と調和を図ることを含みます。
具体的には、反省的均衡は以下のような段階を経て進められます。
* **直観的信念の明確化:** まず、私たちが当然のことと考えている道徳的信念を明確に言語化し、その内容を分析する。
* **経験的妥当性の検討:** 明確化された道徳的信念を、人間の心理や社会の現実に関する経験的な知見と照らし合わせ、その妥当性を検証する。
* **論理的一貫性の確認:** 道徳的信念同士の間に矛盾や不整合がないかを厳密に検討する。
* **説明力の評価:** 道徳的信念が、私たちの道徳経験や道徳的実践をどれだけうまく説明できるかを評価する。
これらの段階を繰り返し経ることで、私たちの道徳的信念はより洗練され、より確固たる根拠を持つようになると考えられます。