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シジウィックの倫理学の方法の価値

## シジウィックの倫理学の方法の価値

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直観主義と功利主義の調和

ヘンリー・シジウィックは、その主著『倫理学の方法』において、当時の倫理学の二大潮流であった直観主義と功利主義の調和を試みました。彼は、人間の道徳意識には、いくつかの自明な道徳的直観が存在すると認めつつも、それらの直観はしばしば互いに矛盾し、具体的な行動指針を与えるには不十分であると指摘しました。

そこでシジウィックは、功利主義、特にベンサムの提唱した最大多数の最大幸福を究極の道徳原理として採用することで、直観主義の抱える問題を解決しようとしました。彼は、人間の理性的な考察によって、幸福こそが唯一の intrinsic good であり、苦痛こそが唯一の intrinsic evil であると結論付けました。そして、この功利主義の原理に基づいて、具体的な道徳判断を下し、行動の指針を得ることができると主張したのです。

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方法論としての重要性

シジウィックの倫理学における最大の特徴は、その厳密な方法にあります。彼は、形而上学的な議論や宗教的権威に依拠することなく、人間の理性と経験のみを頼りに、倫理学の基礎づけを試みました。彼の緻密な論理と鋭い分析は、その後の倫理学に多大な影響を与えました。

特に、彼が重視したのは、「何が正しいか」という normative ethics の問題と、「人々は何を正しいと考えているか」という descriptive ethics の問題を明確に区別することでした。この区別は、倫理学を感情や主観から切り離し、客観的な学問として確立するために不可欠なものでした。

さらに、シジウィックは、道徳判断の根拠を徹底的に探求し、人間の道徳意識の構造を分析しました。彼は、道徳判断には、理性に基づく要素と感情に基づく要素の両方が含まれていることを明らかにし、その相互作用を解き明かそうとしました。

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