シジウィックの倫理学の方法の企画書
### 執筆の背景と目的
19世紀後半のイギリス哲学界において、功利主義は重要な地位を占めていたものの、その理論的基礎や実践における問題点も指摘されていました。特に、ベンサムの量的功利主義は、快楽の質的な差異を無視し、人間の道徳感情と乖離する側面がありました。また、ミルは質的な功利主義を提唱することで、こうした批判に応えようと試みましたが、その基準は曖昧であり、客観性に欠けるという批判もありました。
### 本書の目的
本書は、こうした状況を踏まえ、倫理学の基礎付けを改めて問い直し、より精緻で体系的な倫理学を構築することを目的とします。具体的には、以下の3点を達成することを目指します。
* 倫理学の基礎となる方法論を確立する。
* 従来の倫理学説、特に功利主義を批判的に検討し、その問題点を明らかにする。
* 上記の検討を踏まえ、より妥当性の高い倫理学の体系を提示する。
### 本書の構成(予定)
本書は、以下の構成で執筆する予定です。
**第一章:序論**
倫理学の定義、本書の目的、方法について論じる。
**第二章:倫理学の方法**
倫理学における直観の役割、倫理的判断の客観性について検討する。
**第三章:功利主義の検討**
ベンサムとミルの功利主義を分析し、その功績と問題点を明らかにする。
**第四章:道徳の基礎**
倫理学の基礎となる道徳原理について、直観主義と功利主義の観点から考察する。
**第五章:正義論**
正義の概念を分析し、分配の正義、応報的正義について論じる。
**第六章:結論**
本書の成果を要約し、今後の倫理学の展望を示す。
### 本書の意義
本書は、倫理学の基礎を問い直すことで、現代の倫理的問題に対しても示唆を与えるものとなるでしょう。また、シジウィック自身の倫理思想を体系的に提示することで、その後の倫理学研究に多大な影響を与えることが期待されます。