## シェーラーの宇宙における人間の位置の構成
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構成について
シェーラーの主著『宇宙における人間の位置』は、1928年の刊行であり、未完に終わったものの、彼の思想の全体像を概観できる重要な著作として位置づけられています。 本書は、全7章から構成されています。
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各章の内容
**第1章 問題の提起:人間とは何か**
この章では、まず従来の人間理解を批判的に検討し、人間の特異性を明らかにすることの重要性を論じています。 特に、人間を他の生物と比較しながら、その差異を浮き彫りにしています。 また、人間を理解するためには、宇宙における人間の位置を明らかにする必要があると主張しています。
**第2章 コスモスにおける生命**
ここでは、生命現象を物質と精神の中間領域に位置づける独自の生命論を展開しています。 シェーラーは、植物の状態、本能的な衝動を持つ動物の状態、そして意識を持つ人間の状態を比較し、生命の発展段階として捉えています。
**第3章 植物の魂と人間の魂**
この章では、植物と人間の魂を対比しながら、人間の精神の特異性を明らかにしようと試みています。 植物には意識や衝動がないのに対し、人間は意識と自由な精神を持つ存在であると論じています。
**第4章 動物における衝動と知覚**
本章では、動物の行動を規定する「衝動」という概念を導入し、人間の精神との比較を行っています。 動物の知覚は、環境への適応という目的のために限定されているのに対し、人間は世界を客観的に認識することができると主張しています。
**第5章 人間における衝動と精神**
この章では、人間の精神活動の基盤となる「衝動」について考察しています。
シェーラーは、人間の衝動は単なる生物学的欲求ではなく、精神的な価値と結びついていると論じています。
**第6章 世界開闢における精神**
本章では、人間の精神の起源と本質について考察しています。 シェーラーは、精神は物質から進化してきたのではなく、世界開闢の時点で既に存在していたと主張しています。
**第7章 人間の宇宙論的位置**
最終章では、これまでの議論を踏まえ、宇宙における人間の位置を総合的に論じています。 シェーラーは、人間は精神を持つ存在として、宇宙の中心に位置づけられると結論付けています。
**注記**
本書は未完であるため、シェーラーの構想の全体像や詳細な議論については、他の著作や草稿を参照する必要があります。