シェーラーの宇宙における人間の位置の技法
シェーラーの宇宙における人間の位置の技法
シェーラーは、「人間とは何か」という問いに答えるために、生物学、心理学、哲学などを総合して人間の位置を宇宙の中で捉えようとした。その際、彼は独自の哲学的方法を用いている。シェーラーの方法は、現象学的還元と本質直観を基礎とする。
現象学的還元
現象学的還元とは、日常的な偏見や先入観、既存の学問的知識などを括弧に入れた上で、事物をありのままに見ることを目指す方法である。シェーラーは、人間を理解するためには、まず人間に対する既存の解釈を一度保留し、純粋に現象として現れる人間を捉え直す必要があると考えた。
本質直観
本質直観とは、現象学的還元によって得られた純粋な現象から、その背後にある本質を直観的に把握する能力のことである。シェーラーは、人間の本質は、人間の様々な行為や経験の中に潜在的に含まれていると考えた。本質直観を通じて、我々は、現象の背後にある普遍的かつ不変的な本質を捉えることができる。
シェーラーは、これらの方法を用いることで、人間を他の生物や存在物とは異なる、独自の地位を持つ存在として位置づけることができるようになると考えた。