## シェリングの人間的自由の本質を読む
シェリングにおける自由の概念
シェリングにとって、自由は単なる「選択の自由」を超えた、より根源的な概念です。彼は、人間の本質を「自己決定」という概念と結びつけ、真の自由は自己自身の根拠において自らを決定する能力であると主張します。これは、外部からの強制や内的衝動に左右されることなく、自らの理性と意志に基づいて行動を選択することを意味します。
自由と理性
シェリングは、理性こそが人間を他の存在と区別し、自由を可能にするものだと考えます。彼は、理性には自己を客観的に認識し、普遍的な道徳法則を理解する能力があると主張します。真に自由であるためには、理性に従って行動し、自己の欲求や感情に盲目的に従うことを避ける必要があります。
自由と悪
シェリングは、自由と悪の密接な関係についても考察しています。彼は、人間が真に自由である以上、悪を選択する可能性もまた避けられないと認めます。悪とは、理性と道徳法則に反する行為であり、自己中心的な欲求や衝動に屈することによって生じます。しかし、悪の存在は自由の否定ではなく、むしろその裏返しとして理解されるべきです。なぜなら、もし人間が悪を選択する自由を持たなければ、真の意味での自由は存在しないことになるからです。