## シェリングの人間的自由の本質の関連著作
**イマヌエル・カント『純粋理性批判』**
シェリングの自由論は、カント哲学、特に『純粋理性批判』における超越論的観念論を批判的に継承したものとして位置づけられます。カントは、人間が認識しうるものは、物自体ではなく、人間の感性と悟性によって構成された現象界であると主張しました。彼は、時間・空間や因果律といったカテゴリーは、人間の認識能力の側にアプリオリに備わっているものであり、現象界を構成する形式であると考えました。
**イマヌエル・カント『実践理性批判』**
カントは『実践理性批判』において、自由を道徳法則に従う自律的な意志の能力と定義しました。彼は、人間の行為は自然法則の支配を受ける現象界と、自由な意志が働く叡智界の両方に属すると考えました。道徳法則は、叡智界における自由な意志に由来するものであり、人間の理性によって認識されます。カントは、自由は道徳法則に従うことによってのみ実現されると考え、これを「自律」と呼びました。
**ヨハン・ゴットリープ・フィヒテ『全知識学の基礎』**
フィヒテは、カントの超越論哲学をさらに発展させ、自我の絶対的な自己設定を基盤とする主観的観念論を展開しました。フィヒテは、自我が非我を対自的に設定することによって自己意識を獲得すると考えました。彼は、自由を自我の自己活動として捉え、自我が自己自身を制限することによって世界を創造すると考えました。
**フリードリヒ・ヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・シェリング『超越論的観念論体系』**
シェリングは、初期においてフィヒテの主観的観念論の影響を受けましたが、後に自然と精神の統一を目指す客観的観念論へと転向しました。シェリングは、『超越論的観念論体系』において、自然を無意識的な意志の段階、芸術を意識と無意識の橋渡し、哲学を意識的な精神の段階と位置づけました。
**ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル『精神現象学』**
ヘーゲルは、シェリングの客観的観念論を批判的に継承し、弁証法的方法を用いて精神の自己展開の過程を体系的に描きました。ヘーゲルは、『精神現象学』において、精神が自己疎外と自己回復を繰り返しながら、より高次の段階へと発展していく過程を描きました。彼は、自由を自己意識が自己自身を認識し、自己決定する能力として捉えました。