## シェリングの人間的自由の本質の思索
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自由と必然の対立
シェリングにとって、人間の自由の本質は、自由と必然の対立という根本問題と不可分に結びついています。彼は、人間の意志が真に自由であるならば、その行為は予測不可能なはずだと考えます。しかし同時に、世界には因果律が働いており、あらゆる事象は先行する原因によって決定されているようにも見えます。これが、自由と必然の対立と呼ばれる問題です。
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理性と衝動
シェリングは、人間の内部にもこの対立を見出します。彼は、人間を構成する二つの原理として、理性と衝動を挙げます。理性は普遍的な法則に従って思考し、行為を決定しようとします。一方、衝動は個人的な欲求や感情に基づいて、理性の要求とは異なる行動をとらせることもあります。
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自由への道
では、このような対立の中で、人間はどのようにして真の自由を獲得できるのでしょうか。シェリングは、自由とは単に好き勝手に行動することではなく、自己の内に存在する必然性、すなわち理性に従って行動することだと考えます。彼は、理性に従うことこそが、真の自己を実現し、自由を獲得する道だとしました。