## シェリングの人間的自由の本質と時間
シェリングにおける自由の概念
シェリングにとって、自由は単なる選択の possibilité ではなく、むしろ自己決定、すなわち「自己基底」の能力を意味します。彼は、人間の精神を「無差別なもの」と「差別されたもの」の統一として捉え、真の自由は、この無差別なもの（純粋自我、絶対的意志）が自己を意識へと展開し、自己を限定していく過程で実現されると考えました。言い換えれば、自由とは、自己の根源へと遡り、そこから自己を創造していく力と言えるでしょう。
時間と永遠
シェリングは、時間と永遠の関係についても深く考察しました。彼は、時間を単なる変化の尺度としてではなく、永遠が自己を顕現化する場として理解しました。永遠は時間の外にあるのではなく、時間に内在し、時間を貫くものとして捉えられます。そして、人間は、時間の中で行為を選択し、歴史を形成していく存在であると同時に、永遠に根ざした存在でもあります。
自由と時間の関係
シェリングは、人間の自由は、時間と密接に関係していると論じました。彼は、時間を直線的な流れとしてではなく、現在を軸とした過去と未来の統一として捉えました。そして、自由とは、過去に規定されることなく、未来の可能性にとらわれることもなく、現在において自己を決定する能力であるとしました。
しかし、シェリングは、時間を完全に超越した自由を認めていたわけではありません。彼は、人間は時間的存在である限り、有限な存在であり、過去の行為の結果から逃れることはできないとしました。
重要なのは、過去の行為は、未来の可能性を制限するものではあるものの、完全に決定するものではないということです。人間は、過去の行為を反省し、そこから学び、新たな決断をすることができます。このように、シェリングは、時間の中における自由の実現を重視しました。