シェイクスピアの終わりよければすべてよしの案内
登場人物
* **ヘレナ**: 身分の低い孤児の娘。 医師であった父の処方箋を受け継ぎ、その医術でフランス王の病を治す。
* **バートラム**: ロシヨン伯爵。 若くハンサムだが、未熟で身分を気にする。ヘレナを愛していないにもかかわらず、王の命令で結婚させられる。
* **フランス王**: バートラムの君主。 病を治してくれたヘレナに感謝し、バートラムとの結婚を命じる。
* **ラヴァーチ**: 老伯爵。 経験豊富で洞察力があり、ヘレナに助言を与える。
あらすじ
身分の低い孤児であるヘレナは、ロシヨン伯爵バートラムに恋をする。しかし、バートラムはヘレナの身分を理由に彼女の愛を受け入れない。 フランス王が重い病に倒れた際、ヘレナは亡き父の処方箋を用いて王を治療し、その褒美としてバートラムとの結婚を願い出る。 王の命令によりバートラムはヘレナと結婚するが、彼はヘレナを妻として認めず、フィレンツェへ逃亡してしまう。 ヘレナは王の助言に従い、バートラムの愛を得るための計画を実行する。 彼女はバートラムに、彼がある条件を満たせば結婚の証として指輪を渡すと伝える。バートラムはその条件を達成したと思い込み、ヘレナに指輪を渡してしまう。 実はヘレナは策略を用いてバートラムに指輪を渡させており、最終的にバートラムはヘレナの愛と機転を認め、彼女を妻として受け入れる。
テーマ
* **愛と身分**: 本作では、身分の違いを超えた愛が描かれている。ヘレナは身分の低い女性だが、知性と機転、そして純粋な愛によって、高貴なバートラムの心を射止めようとする。
* **策略と欺瞞**: ヘレナはバートラムの愛を得るために、様々な策略を巡らせる。本作では、目的を達成するためには手段を選ばないという考え方が示唆されている。
* **赦しと和解**: 最終的にバートラムはヘレナを妻として受け入れ、物語はハッピーエンドを迎える。本作は、赦しと和解の重要性を訴えかけている。
上演史
「終わりよければすべてよし」の正確な初演年は不明だが、1604年から1605年頃に書かれたと考えられている。作品はシェイクスピアの「問題劇」に分類されることが多く、喜劇と悲劇の要素を併せ持ち、道徳的に曖昧な部分も多い。