## シェイクスピアの終わりよければすべてよしの光と影
光:恋愛成就と社会復帰
本作では、身分差を乗り越えて結ばれる男女の恋愛が描かれています。主人公ヘレナは、想いを寄せるベルトラム伯爵に身分違いを理由に拒絶されますが、機転を利かせた行動と策略によって最終的に彼の愛を勝ち取ります。これは、当時の社会では異例であり、ある種の「光」として映し出されます。
また、ベルトラム伯爵の友人パロールは、ヘレナを騙そうとして逆に窮地に陥りますが、最終的には改心し、社会に受け入れられます。彼の存在は、人間が過ちから学び、成長できる可能性を示唆しており、希望を感じさせる要素となっています。
影:策略と欺瞞、そして真の愛情
一方、ヘレナがベルトラム伯爵の愛を得るために用いた手段は、策略と欺瞞に満ちていました。王様の命令と偽り、ベルトラム伯爵をベッドインに誘い込み、彼の子を身ごもるという強引な方法で結婚を成立させています。これは、目的のためには手段を選ばないという彼女の冷酷さを表しており、純粋な恋愛の姿とは言い難い側面も持ち合わせています。
また、ベルトラム伯爵は劇の最後までヘレナに心からの愛情を抱いているかは曖昧なままです。結婚を受け入れたとはいえ、それは王命によるものであり、彼の真意は明らかになっていません。真の愛情に基づかない結婚という結末は、一見ハッピーエンドに見せかけながらも、どこか後味の悪さを残しています。