## シェイクスピアの終わりよければすべてよしと時間
###
時間の流れ
「終わりよければすべてよし」において、時間の流れは現実的なものとして描かれています。劇は明確な時間経過とともに進行し、登場人物たちは過去の出来事を振り返り、未来への希望や不安を抱えながら生きています。
劇中には、具体的な時間の経過を示唆する表現は多くありません。日数や月日が明示されることは稀であり、読者は登場人物たちの会話や行動、そして場面転換などから、おおよその時間経過を推測することになります。
###
時間の操作
シェイクスピアは「終わりよければすべてよし」において、劇的な効果を生み出すために時間を操作する手法を用いています。
例えば、ヘレナがフローレンスからルシヨンまでの距離をわずか４日間で移動する場面は、現実的な時間経過とはかけ離れています。これは、ヘレナの強い意志と行動力を強調し、物語をスピーディーに展開させるための劇的な演出と言えるでしょう。
また、劇の終盤で、ベルタラムがヘレナを受け入れるまでの心の変化は、時間をかけて丁寧に描写されているわけではありません。彼の態度の急変は、観客にある種の唐突さを感じさせる可能性もありますが、これはシェイクスピアが「終わりよければすべてよし」というテーマを強調するために用いた、時間操作の一つの形と解釈できます。