## シェイクスピアの恋の骨折り損の対称性
登場人物の対称性
「恋の骨折り損」には、主要な登場人物に明らかな対称性が見られます。ナバラ王と三人の貴族、フランス王女と三人の侍女というように、男性陣営と女性陣営でそれぞれが対をなしています。
* ナバラ王 – フランス王女
* ベローーン – ロザライン
* ロンガヴィル – マリア
* デュメーン – キャサリン
彼らの身分や性格、劇中の役割は互いに対応しており、登場人物配置の対称性を際立たせています。例えば、ナバラ王とフランス王女は両陣営のリーダーであり、ベローーンとロザラインはどちらも機知に富み、ロンガヴィルとマリアは思慮深く、デュメーンとキャサリンはやや軽薄な傾向を持つように描かれています。
プロットの対称性
劇の筋書きもまた、対称的な構造を成しています。前半では男性陣営が女性陣営に求愛し、後半では立場が逆転して女性陣営が男性陣営を試す展開となります。
* 男性陣営の誓い – 女性陣営の拒絶
* 男性陣営の変装 – 女性陣営の見破り
* 男性陣営の求婚 – 女性陣営の試練
このように、プロットは中心点を境に反転するような構成となっており、登場人物の行動や関係性の変化がより鮮明に描かれています。
言語の対称性
シェイクスピアは言葉の魔術師としても知られていますが、「恋の骨折り損」では対句や韻律などを駆使した巧みな言語表現が、劇の対称性を強調する役割を果たしています。特に、男性陣営と女性陣営が似た表現や言い回しを用いる場面が多く見られます。例えば、男性陣営が女性陣営に宛てたソネットと、女性陣営がそれに対して返す返歌は、形式や内容において対照的な構造となっています。
これらの言語表現における対称性は、登場人物間の関係性や劇全体のテーマをより深く理解する上で重要な要素となっています。