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シェイクスピアの冬物語の表現

## シェイクスピアの冬物語の表現

ロマンス劇としての特徴

「冬物語」は、シェイクスピアの晩年の作品群に分類される「ロマンス劇」に属します。ロマンス劇は、悲劇的な要素を含みながらも、最終的には登場人物たちの和解と再生を描くという特徴を持ちます。

「冬物語」においても、シチリア王レオンテスの嫉妬により、王妃ハーミオーンとその娘パーディタは追放され、悲劇的な運命を辿ります。しかし、16年の時を経て、成長したパーディタとボヘミア王子フロリゼルの恋物語が展開され、最終的にはレオンテスの悔恨と和解によって物語は幕を閉じます。

時間と場所の自由な扱い

シェイクスピアのロマンス劇では、時間と場所の制約を超えた自由な展開が見られます。「冬物語」においても、物語はシチリアとボヘミアという離れた場所を舞台とし、16年という長い歳月が流れます。

特に、第3幕と第4幕の間には16年間の空白が存在し、舞台もシチリアからボヘミアへと移ります。このような時間と場所の飛躍は、登場人物たちの成長や変化、そして運命のいたずらを強調する効果を生み出しています。

象徴的なイメージの多用

「冬物語」では、登場人物や出来事を象徴的に表現するイメージが数多く用いられています。例えば、タイトルにもなっている「冬」は、レオンテスの冷酷な嫉妬心や、物語前半の悲劇的な雰囲気を象徴しています。

一方、「春」や「花」といったイメージは、パーディタの登場や物語後半の再生と希望を象徴しています。また、「熊」の出現や「石像」に命が宿るという超常現象は、運命の不可思議さや人間の想像力を超えた力を暗示しています。

詩と散文の対比

シェイクスピアの戯曲では、登場人物の身分や場面の雰囲気によって、詩と散文が使い分けられています。「冬物語」においても、王侯貴族や高貴な身分の登場人物は主に格調高い詩で語り、羊飼いなど庶民の登場人物は散文で話します。

このような詩と散文の対比は、登場人物の性格や社会的地位を明確にするだけでなく、場面の雰囲気や感情の変化を表現する効果も持っています。例えば、レオンテスの悲痛な後悔やハーミオーンの気高さは詩によって表現され、羊飼いのコミカルなやり取りは散文によって描写されます。

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