シェイクスピアの二人のいとこの貴公子を読む前に
作品背景の理解
「二人のいとこの貴公子」は、1613年頃に書かれたとされ、ジョン・フレッチャーとの共作であると考えられています。この作品は、トーマス・ロッジのロマンス小説「ロザリンド」(1590年)を基にしており、これはまた、ジョヴァンニ・ボッカッチョの「デカメロン」(1353年)の中の一編から着想を得ています。こうした原典との関係を知ることは、シェイクスピアの創作過程や作品におけるテーマの扱い方を理解する上で役立ちます。
登場人物の関係性の把握
この作品には、多くの登場人物が登場し、複雑な関係性が展開されます。主な登場人物としては、タイトルにもなっている二人のいとこ、パラモンとアーサイト、そして彼らが恋焦がれるアマゾンの女王ヒポリタとその妹エミーリアが挙げられます。彼らの複雑な関係性、特にパラモンとアーサイトの友情と愛情の葛藤は、物語の中心軸となっています。登場人物の関係性を事前に把握しておくことで、物語をよりスムーズに理解することができます。
戯曲の構造とテーマへの着目
「二人のいとこの貴公子」は、騎士道物語、恋愛劇、悲劇の要素が複雑に絡み合った作品です。運命と自由意志、愛と義務、名誉と復讐といった普遍的なテーマが、登場人物たちの葛藤を通して描かれています。作品全体を通して、これらのテーマがどのように展開していくのかに注意を払いながら読むことで、より深い理解を得ることができます。
言語と文体の特徴に注意する
「二人のいとこの貴公子」は、シェイクスピアの晩年の作品であり、彼の円熟期の文体と、共作者であると考えられるフレッチャーの影響が混在しています。韻律や語彙の選択、比喩表現など、シェイクスピアの作品ならではの言語表現に注目することで、作品の魅力をより深く味わうことができます。