## シェイクスピアの二人のいとこの貴公子の批評
シェイクスピアの作者論争における位置づけ
「二人のいとこの貴公子」は、1613年に出版された戯曲で、タイトルページにはウィリアム・シェイクスピアとジョン・フレッチャーの合作と記載されています。この作品は、シェイクスピアの晩年の作品の一つとされ、フレッチャーとの共作である点が注目されています。しかし、シェイクスピアの作者論争においては、この作品が本当にシェイクスピアの著作であるかについては、議論が続いています。
批評における評価の変遷
「二人のいとこの貴公子」は、出版当時からあまり高い評価を受けていませんでした。17世紀から18世紀にかけては、シェイクスピアの他の作品と比べて出来が悪いとみなされ、上演される機会もほとんどありませんでした。しかし、19世紀後半から20世紀にかけて、シェイクスピア研究が進むにつれて、この作品に対する関心が高まり、再評価が進みました。
劇作上の特徴
「二人のいとこの貴公子」は、恋愛劇の要素と悲劇の要素が混在した作品です。二人の貴公子、パラモンとアーサイトが、アマゾンの女王ヒポリタの妹エミリアに恋をするところから物語が始まります。二人は友情を誓いますが、やがてエミリアをめぐって対立し、決闘によって決着をつけようとします。
この作品は、シェイクスピアの他のロマンス劇と同様に、複雑なプロット展開や登場人物たちの心理描写が特徴です。また、フレッチャーの影響とされる、詩的な表現やスペクタクル性の高い場面も見られます。
未解決な問題
「二人のいとこの貴公子」は、現在でも多くの謎に包まれた作品です。シェイクスピアとフレッチャーのどちらがどの程度執筆に関わったのか、作者たちの意図はどこにあったのか、といった問題は、依然として議論の的となっています。