## シェイクスピアのヴェローナの二紳士から学ぶ時代性
プロテウスの変心と当時の恋愛観
「ヴェローナの二紳士」は、その名の通り、親友同士であるヴァレンタインとプロテウスの二人の紳士を中心に物語が展開されます。特に興味深いのは、プロテウスの恋愛模様です。彼はミラノ公爵の娘シルヴィアに恋心を抱きますが、それは親友ヴァレンタインが既に想いを寄せている女性でした。プロテウスは友情よりも恋愛感情を優先させ、ヴァレンタインを裏切ってシルヴィアを手に入れようとします。
当時の恋愛は、現代と比べて自由度が低く、家柄や社会的地位が大きく影響していました。恋愛結婚よりも政略結婚が主流であった時代背景を考えると、プロテウスの行動は、必ずしも道徳的に間違っていると断罪することはできません。彼の行動は、むしろ、当時の社会における恋愛の難しさや、個人の欲望と社会規範との間で揺れ動く若者の姿を反映していると言えるでしょう。
ジュリアの男装と女性の立場
一方、プロテウスに恋心を抱くジュリアは、彼の後を追ってミラノへと旅立ちます。その際、ジュリアは男装という手段を選びます。当時の女性は、男性中心社会において、自由に行動することが制限されていました。ジュリアの男装は、そんな時代の制約を乗り越え、自らの意志で行動しようとする女性の強さを象徴しています。
劇中では、ジュリアは男装によって様々な困難を乗り越え、機転を利かせてプロテウスとシルヴィアの仲を妨害しようとします。彼女の行動は、当時の女性としては非常に珍しく、勇気あるものとして描かれています。
主従関係と階級社会
「ヴェローナの二紳士」には、貴族であるヴァレンタインやプロテウスとその従者であるスピードやランスが登場します。主従関係は当時の社会において重要な要素であり、劇中でも彼らの関係を通して、当時の階級社会を垣間見ることができます。
例えば、ランスはしばしば言葉遊びや皮肉を交えながら、主人のプロテウスに対する不満を吐露します。彼の言葉は、当時の社会における階級差や、下層階級の人々の置かれていた状況を浮き彫りにしています。