シェイクスピアのロミオとジュリエットの思想的背景
ルネサンス期の人間観
「ロミオとジュリエット」は16世紀後半、イギリスではエリザベス朝、ヨーロッパ大陸ではルネサンス後期にあたる時代に書かれました。ルネサンス期は、中世の宗教中心的な世界観から脱却し、人間中心的な世界観へと移行した時代でした。古代ギリシャ・ローマ文化の復興により、人間理性や個性、現世での幸福が重視されるようになりました。
恋愛観の変化
中世では、結婚は家同士の結びつきを重視した政略的なものでした。しかし、ルネサンス期に入ると、個人の感情や恋愛に基づいた結婚が徐々に認められるようになりました。
「ロミオとジュリエット」では、ロミオとジュリエットが家同士の対立をよそに、激しい恋愛感情で結ばれる様子が描かれています。これは、当時の恋愛観の変化を反映していると考えられます。
運命と自由意志
「ロミオとジュリエット」では、運命と自由意志の対立が重要なテーマとなっています。星回りや偶然によって運命づけられているかのような出来事が起こる一方で、登場人物たちは自らの意志で行動しようとします。
当時のヨーロッパでは、占星術が盛んに行われており、人間の運命は星によって決められているという考え方が広まっていました。しかし一方で、人間には自由意志があり、自らの運命を切り開くことができるという考え方も存在していました。