シェイクスピアのリア王に影響を与えた本
モンマスによる英国史
シェイクスピアの『リア王』の筋立てと登場人物の多くは、ジェフリー・オブ・モンマスの『ブリタニア列王史』から着想を得ています。『ブリタニア列王史』は、12 世紀に書かれた、ブリテン人の伝説的な歴史を記した書物です。この書物は、ローマ人による征服以前のブリテンを舞台に、リア王とその娘たちに関する物語の最も初期の既知の記述を提供しています。
モンマスの物語では、リアは古代ブリテンの偉大な王であり、3 人の娘（ゴネリル、レーガン、コーデリア）がいました。リアは年を取り、王位を退きたいと考えるようになると、それぞれの娘への愛情の大きさに応じて王国を分割することを決意します。ゴネリルとレーガンはリアへの偽りの愛情を公言しますが、コーデリアは真実の愛を言葉で表すことを拒否し、リアを激怒させます。
リアはコーデリアを勘当し、王国をゴネリルとレーガンに分け与えます。ゴネリルとレーガンはすぐにリアをないがしろにし、彼から権力と尊厳を奪います。最終的にリアは狂気に陥り、荒野をさまよい歩き、娘たちの裏切りを嘆きます。フランス王と結婚したコーデリアは、軍隊を率いてリアを救出するためにやって来ますが、敗北して捕らえられます。リアとコーデリアはともに投獄され、コーデリアはそこで自殺します。リアは深い絶望の中で亡くなり、コーデリアの亡骸を胸に抱きしめています。
シェイクスピアは『リア王』でモンマスの物語から多くの要素を借用していますが、登場人物と筋立ての両方に対して重要な変更を加えています。例えば、シェイクスピアのリア王はモンマスのリア王よりも悲劇的な人物であり、その没落は彼自身の欠点と判断ミスによって引き起こされます。シェイクスピアはまた、道化師、グロスター伯爵、その息子エドガーとエドマンドなど、モンマスの物語には登場しない新しい登場人物を数人加えています。
こうした変更を加えたにもかかわらず、シェイクスピアの『リア王』は依然としてモンマスの『ブリタニア列王史』に負うところが大きく、シェイクスピアの悲劇の登場人物とテーマを理解するには、この影響についての知識が不可欠です。