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シェイクスピアのペリクリーズの批評

シェイクスピアのペリクリーズの批評

ロマンス劇としての位置づけ

「ペリクリーズ」は、シェイクスピア晩年のロマンス劇(または悲喜劇)に分類されることが多い作品です。このジャンルの作品群は、「冬の物語」「シンベリン」「テンペスト」といった作品も含み、喪失と回復、贖罪と和解といったテーマを共有しています。 これらのロマンス劇は、悲劇的な状況から始まりながらも、最終的には登場人物たちの再会や和解によって幸福な結末を迎えるという特徴があります。

作者論争

「ペリクリーズ」は、シェイクスピア単独の作品ではなく、他の劇作家との合作であるという説が根強く存在します。 特に、劇の初期の場面における文体や構成の拙劣さが、円熟期のシェイクスピアの作品としては異質であると指摘されています。 この説を裏付けるものとして、1608年の刊行時に「ウィリアム・シェイクスピアとジョージ・ウィルキンスの作品」と表記されたことや、劇作家フィリップ・マーロウとの共作の可能性を示唆する研究も挙げられます。

登場人物の造形

「ペリクリーズ」は、ペリクリーズを筆頭に、多くの魅力的な登場人物が登場します。 ペリクリーズは、高潔で勇敢な理想的な君主として描かれ、数々の苦難を乗り越えていく姿は、観客に感動を与えます。 また、彼の娘マリーナも、純粋で強い女性として描かれ、物語の重要な役割を担っています。 しかし、一方では登場人物たちの心理描写が浅薄であるという批判も存在します。

舞台装置と演出

「ペリクリーズ」は、地中海世界を舞台に、登場人物たちが長い航海を経て様々な土地を訪れる壮大な物語です。 そのため、舞台上では、船の航行や嵐といった場面転換を効果的に見せるための工夫が求められました。 当時の演劇では、舞台装置が簡素であったため、登場人物のセリフや音楽によって観客の想像力を喚起する必要がありました。 しかし、劇中では、場所や時間の経過が唐突に感じられる場面も少なくなく、演出によっては観客に混乱を招く可能性も孕んでいます。

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