## シェイクスピアのヘンリー四世 第一部の対称性
ホットスパーとハル王子
ヘンリー四世 第一部では、ホットスパーとハル王子という対照的な二人の若者が描かれています。劇の冒頭では、彼らはまるで鏡に映った像のように対称的な立場に置かれています。ホットスパーは戦場で勇敢さを示し、周囲から賞賛を浴びる一方、ハル王子は酒場に入り浸り、悪友とつるむ日々を送っています。
反乱と王位継承
劇の中心となるのは、ヘンリー四世に対する反乱ですが、これも一種の対称性を生み出しています。王位継承をめぐる争いは、ホットスパーとその一族、そしてヘンリー四世とその息子であるハル王子という、二つの勢力の対立として描かれます。
言葉と行動の対比
ホットスパーは雄弁で情熱的な人物として描かれ、その言葉はしばしば行動を上回る激しさを見せます。一方、ハル王子は一見軽薄で無鉄砲に見えますが、その行動は計算され、目的達成のためには冷酷さも見せることがあります。
劇の構成
劇の構成自体にも対称性が見られます。前半はホットスパーの活躍が目立ちますが、後半はハル王子が中心人物となり、物語が展開していきます。また、前半で示された伏線が後半で回収されるなど、巧みな構成がなされています。