## シェイクスピアのヘンリー六世 第三部の案内
ヘンリー六世 第三部 について
「ヘンリー六世 第三部」は、ウィリアム・シェイクスピアによって書かれた史劇です。1591年頃に書かれたと考えられており、薔薇戦争と呼ばれるイングランドの王位継承をめぐる争いを描いた三部作の最終章にあたります。前編である「ヘンリー六世 第一・二部」に引き続き、ヨーク家とランカスター家の対立が激化し、最終的にヨーク家が勝利を収めるまでを描いています。
あらすじ
「ヘンリー六世 第三部」は、ヨーク公リチャードが、息子エドワード、ジョージ、リチャードと共に、ランカスター朝から王位を奪うために戦うところから始まります。ウェイクフィールドの戦いでヨーク公が敗死した後も、息子たちは戦いを続け、エドワードはエドワード四世としてイングランド王に即位します。しかし、ランカスター派の抵抗は続き、マーガレット王妃やフランスの支援を受けたヘンリー六世との間で戦いが繰り広げられます。最終的に、エドワード四世はテュークスベリーの戦いで勝利し、ヘンリー六世とその息子エドワードを殺害、ランカスター家を滅ぼします。
登場人物
* **ヘンリー六世**: イングランド王。敬虔で温和な性格だが、優柔不断で決断力に欠けるため、周囲に翻弄される。
* **マーガレット王妃**: ヘンリー六世の王妃。夫の無能さを補うため、政治に積極的に関与し、息子エドワードのために王位を守るべく奮闘する。
* **エドワード四世**: ヨーク公リチャードの長男。後にイングランド王となる。野心家で冷酷な一面を持つ。
* **リチャード**: ヨーク公リチャードの三男。グロスター公。後にリチャード三世となる。生まれつき身体に障害を持つことから、冷酷で狡猾な性格に育つ。
* **ウォリック伯**: 「キングメーカー」の異名を持つ強力な貴族。当初はヨーク家を支援するが、後にランカスター家に寝返る。
特徴
「ヘンリー六世 第三部」は、前二作に比べて、より激しく残酷な描写が多く見られます。権力闘争の醜さや人間の残忍さを容赦なく描き出すことで、戦争の悲惨さを浮き彫りにしています。また、登場人物たちの複雑な心理描写も見どころの一つです。特に、リチャード三世は、その残忍さと狡猾さ、そして孤独な内面が鮮やかに描かれており、シェイクスピアの作品の中でも特に人気のある悪役の一人となっています。