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シェイクスピアのヘンリー六世 第三部の思想的背景

## シェイクスピアのヘンリー六世 第三部の思想的背景

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当時のイングランド社会における「divine right of kings」の概念

「ヘンリー六世 第三部」が書かれた16世紀後半のイングランドでは、「divine right of kings」(国王神権説)という思想が広く浸透していました。これは、国王の権力は神から与えられたものであり、国王は神に対してのみ責任を負うという考え方です。劇中では、ヘンリー六世が自ら退位し、エドワード四世に王位を譲る場面がありますが、これは当時の観客にとって非常にショッキングな出来事として映ったと考えられます。なぜなら、神から選ばれた王が、自らその座を降りるということは、神の意志に背く行為と見なされた可能性があるからです。

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薔薇戦争と「秩序」の崩壊

「ヘンリー六世 第三部」は、イングランド史における動乱期である薔薇戦争(1455-1487)を背景としています。この戦争は、ヨーク家とランカスター家の王位継承争いを発端としており、劇中では両家の対立が血で血を洗う抗争として描かれています。こうした描写は、当時の観客に対して「秩序」の崩壊という不安感を突きつけたと考えられます。中世ヨーロッパにおいて、社会秩序は神の摂理によって保たれているという考え方が一般的でしたが、薔薇戦争はそうした秩序観に大きな衝撃を与えた出来事でした。

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