## シェイクスピアのヘンリー六世 第三部の周辺
作品概要
* **作者:** ウィリアム・シェイクスピア
* **ジャンル:** 歴史劇
* **執筆年代:** 1590年から1591年頃と推定される
* **初演年代:** 不明
* **出版:** 1595年、「The True Tragedy of Richard Duke of York」として四折版で出版。その後、1623年に「Mr. William Shakespeares Comedies, Histories, & Tragedies」に「The third Part of Henry the Sixt, with the death of Richard the Second」として収録。
歴史的背景
*薔薇戦争(1455-1487)における、ヨーク家とランカスター家の王位継承争いを描く。
*「ヘンリー六世 第一部」、「ヘンリー六世 第二部」に続く三部作の最終章。
*本作は、ヘンリー六世の治世末期からエドワード四世の即位、そしてエドワード四世の弟リチャード(後のリチャード三世)の台頭までを描く。
登場人物
* **ヘンリー六世:** イングランド王。敬虔で温和な性格だが、優柔不断な面も。
* **マーガレット王妃:** ヘンリー六世の王妃。息子エドワードの王位継承のため、政治に積極的に関与する。
* **エドワード:** ヘンリー六世とマーガレットの息子。後のエドワード四世。
* **リチャード:** ヨーク公リチャードの三男。後のリチャード三世。生まれつき背中に瘤を持つ。
* **ウォリック伯:** 「キング・メーカー(国王製造者)」の異名を持つ有力貴族。当初はヨーク家を支持するが、後にランカスター家に寝返る。
特徴
* 前作に引き続き、激しい権力闘争と流血の惨劇が描かれる。
* リチャード(後のリチャード三世)の悪辣な野心家が際立ち、彼の台頭を予感させる。
* シェイクスピアの他の歴史劇と比較して、女性キャラクター、特にマーガレット王妃の活躍が顕著である。
関連作品
* ヘンリー六世 第一部
* ヘンリー六世 第二部
* リチャード三世
その他
* 本作は、クリストファー・マーロウ作の「エドワード二世」などの当時の他の戯曲から影響を受けていると考えられている。
* 本作は、シェイクスピアの四大悲劇(「ハムレット」、「オセロ」、「リア王」、「マクベス」)に比べると、上演される機会は少ない。