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シェイクスピアのヘンリー六世 第一部の原点

シェイクスピアのヘンリー六世 第一部の原点

ヘンリー六世 第一部の史料

シェイクスピアは「ヘンリー六世 第一部」を創作するにあたり、主に二つの史料に依拠しました。一つは、ラファエル・ホリンシェッドの『年代記』(Chronicles of England, Scotland, and Ireland, 1577年)であり、もう一つは、エドワード・ホールの『ランカスター家とヨーク家の統一』(The Union of the Two Noble and Illustre Families of Lancaster and York, 1548年)です。

ホリンシェッドの『年代記』の影響

ホリンシェッドの『年代記』は、シェイクスピアの史劇の多くに影響を与えた重要な史料であり、「ヘンリー六世 第一部」においても、百年戦争におけるフランスでの戦闘や、ジャンヌ・ダルクの登場、薔薇戦争の勃発など、物語の主要な出来事や登場人物に関する情報が豊富に盛り込まれています。特に、タルボット卿の武勇伝や、ジャンヌ・ダルクの異端審問の様子など、劇的な描写は、ホリンシェッドの記述に多くを負っています。

ホールの『ランカスター家とヨーク家の統一』の影響

ホールの『ランカスター家とヨーク家の統一』もまた、薔薇戦争を題材とした作品であり、シェイクスピアは、登場人物たちの性格描写や、政治的な駆け引きの描写において、ホールの影響を受けています。特に、グロスター公爵ハンフリーの温厚で善良な人柄と、その対比として描かれるヨーク公爵リチャードの野心的な性格は、ホールの記述に依拠しています。

その他の影響

上記2つの史料に加え、シェイクスピアは、他の年代記や、当時の演劇作品からも影響を受けている可能性があります。例えば、サミュエル・ダニエルの詩『薔薇戦争』(The Civil Wars between the Two Houses of Lancaster and York, 1595年)は、「ヘンリー六世 第一部」よりも前に書かれた薔薇戦争を題材とした作品であり、シェイクスピアが着想を得た可能性があります。

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