## シェイクスピアのヘンリー八世と人間
権力と野心
「ヘンリー八世」は、権力と野心が複雑に絡み合い、登場人物たちの運命を大きく左右する様子を描いています。ヘンリー八世自身、王としての権力を行使し、自らの欲望のために王妃キャサリンとの婚姻を無効にしようとします。この野心は、当時のイングランドを揺るがす宗教改革へと繋がっていきます。
一方、ウルジー枢機卿は、自身の権力欲を満たすため、策略を巡らせます。彼はヘンリー八世の信頼を得て権力の頂点に上り詰めようとしますが、最終的にはその野心が仇となり、失脚へと追い込まれます。
道徳と信仰
本作では、権力闘争が繰り広げられる一方で、道徳と信仰の問題も重要なテーマとして描かれています。キャサリン王妃は、自身の信念と道徳観に基づき、ヘンリー八世との婚姻の無効に強く反対します。彼女は自身の立場よりも、神の教えと正義を優先する姿を見せます。
また、クランマー大司教は、宗教改革を推進する中で、信仰と政治の板挟みになります。彼はヘンリー八世の意向に沿いつつも、自らの信仰に基づいた行動をとろうと苦悩します。
愛と忠誠心
「ヘンリー八世」は、様々な形の愛と忠誠心を描き出しています。アン・ブーリンは、ヘンリー八世の愛を得て王妃の座に就きますが、その愛は長くは続きません。彼女はヘンリー八世の愛情を失い、悲劇的な運命を辿ることになります。
一方、キャサリン王妃に仕える侍従長は、王妃への揺るぎない忠誠心を持ち続けます。彼は王妃が窮地に立たされても、常に寄り添い、その名誉を守り抜こうとします。