## シェイクスピアのトロイラスとクレシダの原点
トロイア戦争
* シェイクスピアの「トロイラスとクレシダ」は、ホメロスが紀元前8世紀頃に書いたとされる叙事詩「イーリアス」で語られるトロイア戦争を題材にしています。
* ただし、シェイクスピアの戯曲はホメロスの「イーリアス」を直接翻案したものではなく、トロイア戦争とその余波に関する様々な中世およびルネサンス期の作品を参考にしています。
中世のロマンス
* 中世では、トロイア戦争は歴史的な出来事としてではなく、宮廷恋愛や騎士道の物語として語られることが多くなりました。
* 12世紀のフランスの詩人、ブノワ・ド・サント＝モールによる「ル・ローマン・ド・トロア」や、14世紀のイギリスの詩人、ジェフリー・チョーサーによる「トロイラスとクリセイデ」などが、シェイクスピアの戯曲に影響を与えたと考えられます。
* これらの作品では、トロイアの王子トロイラスとギリシャの女性クレシダの悲恋が描かれています。
シェイクスピアの資料
* シェイクスピアの「トロイラスとクレシダ」の直接の資料としては、ジェフリー・チョーサーの「トロイラスとクリセイデ」、ウィリアム・キャクストンによる「トロイの破壊の歴史」、そしておそらくはギリシャ語の原典からラテン語に翻訳された「イーリアス」などが挙げられます。
* シェイクスピアはこれらの資料を自由に組み合わせ、独自のアレンジを加えることで、トロイア戦争を背景にした、愛と名誉、戦争と裏切りを描いた複雑な物語を創造しました。