## シェイクスピアのトロイラスとクレシダに匹敵する本
愛と戦争の苦悩：ホメロス「イーリアス」
シェイクスピアの「トロイラスとクレシダ」は、ホメロスの叙事詩「イーリアス」から大きな影響を受けています。どちらもトロイア戦争を背景に、愛と名誉、裏切り、復讐といった普遍的なテーマを探求しています。「イーリアス」は、アキレウスの憤怒を中心に、戦争の残酷さと英雄たちの苦悩を壮大なスケールで描いています。
人間の本質を見つめる：チョーサー「トロイラスとクリセイデ」
「トロイラスとクレシダ」のもう一つの重要な源泉は、チョーサーによる中世の物語詩「トロイラスとクリセイデ」です。シェイクスピアはチョーサーの作品からプロットの骨格や登場人物の設定を借りつつ、よりシニカルで複雑な人間関係を描き出しています。チョーサーの作品は、宮廷恋愛の慣習や人間の弱さを風刺的に描写しており、シェイクスピアの戯曲にも通じる人間観察の鋭さが見られます。
戦争の不条理を告発する：トルストイ「戦争と平和」
「トロイラスとクレシダ」と同様に、トルストイの「戦争と平和」も戦争の現実と人間関係の複雑さを多角的に描いています。ナポレオン戦争下のロシアを舞台に、複数の貴族家族の運命を交錯させながら、戦争の無意味さや人間の愛と苦悩を描いています。トルストイは、歴史の大きなうねりの中で翻弄される人々の姿を通して、戦争の不条理と平和の尊さを訴えています。