シェイクスピアのテンペストの位置づけ
ロマンス劇としての位置づけ
「テンペスト」は、シェイクスピアの晩年の作品群に分類される「ロマンス劇」の一つに数えられています。ロマンス劇は、悲劇的な要素を含みながらも、最終的には登場人物たちの和解と再生、そして愛と希望に満ちた結末を迎えることが特徴です。
「テンペスト」においても、主人公プロスペローは弟アントーニオの裏切りによってミラノ公国を追放され、娘のミランダと共に孤島で12年間もの歳月を過ごします。しかし、魔法の力を使って嵐を呼び起こし、アントーニオたちを島に漂着させたプロスペローは、最終的には復讐よりも許しを選び、ミラノ公国への帰還を果たします。
シェイクスピアの作品群における位置づけ
「テンペスト」は、シェイクスピアが単独で執筆した最後の作品であると考えられています。そのため、作者自身の晩年の心境や思想が色濃く反映された作品として、多くの研究者から注目されてきました。
例えば、プロスペローが魔法の力を手放す場面は、シェイクスピア自身が劇作家としての活動を引退することを暗示しているという解釈も存在します。
また、「テンペスト」は、シェイクスピアの作品の中でも舞台装置や特殊効果を駆使したスペクタクル性の高い作品としても知られています。嵐の場面やエアリアルなどの精霊たちの登場シーンは、当時の観客たちに強烈な印象を与えたと考えられます。
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