## シェイクスピアのジョン王の面白さ
### 権力と道徳の葛藤を描いた重厚な人間ドラマ
「ジョン王」は、12世紀のイングランド王ジョンを題材に、王位継承、フランスとの戦争、ローマ教皇との対立などを背景に、権力闘争の渦巻く世界を描いています。作品の魅力の一つは、登場人物たちが己の野心、義務、愛、そして罪悪感の間で葛藤する姿を生々しく描き出している点にあります。
### 魅力的な悪役、ジョン王の複雑な人物造形
ジョン王は、王位に対する不安と猜疑心から、次第に残酷な暴君へと変貌を遂げていきます。しかし、シェイクスピアは彼を一概に悪と断じるのではなく、弱さや苦悩、孤独を抱えた人間として描いています。彼の複雑な内面は、観客に嫌悪感だけでなく、同情や哀れみさえも抱かせます。
### 強烈な個性を持つ脇役たちの存在感
ジョン王だけでなく、私利私欲のために暗躍するフランス王フィリップ2世、気高く勇敢な青年貴族フォーコンブリッジ、そして何よりも、作品全体をmoral compass（道徳的指針）として貫く庶民の私生児、フィリップ・ザ・バスタードなど、個性的な脇役たちも物語に深みを与えています。特にバスタードは、皮肉と機知に富んだセリフで権力者たちの偽善を暴き、観客に痛烈な風刺を突きつけます。
### 詩的な言語表現の美しさ
シェイクスピアの巧みな言葉遣いは、登場人物たちの感情の機微や権力闘争の緊張感を鮮やかに描き出し、作品世界をより魅力的なものにしています。特に、ジョン王の苦悩や絶望を表す独白や、バスタードの痛烈な皮肉を込めたセリフは、シェイクスピアの言語の魔術を堪能できる場面と言えるでしょう。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。