## シェイクスピアのジョン王の思想的背景
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王権神授説
「ジョン王」が書かれた時代、ヨーロッパでは王権神授説が広く信じられていました。これは、王の権力は神から与えられたものであり、人民はその権力に従わなければならないという考え方です。劇中で、ジョン王は自らの王位継承の正当性を主張するために、神から選ばれた王であることを強調します。しかし、ジョン王の暴政や自己中心的な行動は、観客に王権のあり方について疑問を抱かせます。
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合法性と正当性
「ジョン王」は、王位継承における合法性と正当性の問題を探求しています。ジョン王は、正当な王位継承者である甥のアーサーの権利を奪って王位に就きます。この行為は、観客に真の王とは何か、権力はどのように正当化されるのかという疑問を投げかけます。ジョン王は法的に王位に就いたかもしれませんが、彼の行動は道徳的に疑問視され、正当な統治者としての資格を損なっています。
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政治と宗教
「ジョン王」は、政治と宗教の複雑な関係を描いています。ジョン王は、カンタベリー大司教の任命をめぐってローマ教皇と対立します。この対立は、世俗の権力と宗教的権力のせめぎ合いを象徴しています。ジョン王は最終的に教皇に屈しますが、この妥協は彼の権威を弱体化させ、国内の混乱を招くことになります。
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愛国心と国民意識
「ジョン王」は、フランスとの戦争を通して、愛国心と国民意識の高まりを描いています。ジョン王の治世は、フランスからの侵略の脅威にさらされています。この危機に際して、イングランドの人々は団結し、国を守るために戦います。劇は、外敵の脅威が国民意識を形成する上で重要な役割を果たすことを示唆しています。