## シェイクスピアのジュリアス・シーザーの構成
第一幕
第一幕は、紀元前44年のローマを舞台に、凱旋将軍ジュリアス・シーザーが凱旋式を行う場面から始まります。民衆はシーザーを熱狂的に支持していますが、共和主義を信条とする一部の貴族たちは、シーザーの台頭を危険視し、暗殺を企てます。
第一幕では、主要な登場人物が紹介され、それぞれの立場や思想が明らかになります。シーザーは、自らの力を過信し、傲慢な振る舞いを見せることもあります。ブルータスは、共和主義の理想とシーザーへの友情の間で葛藤します。カシウスは、シーザーへの個人的な恨みから、暗殺計画を主導します。
また、第一幕では、不吉な前兆や予言が登場し、後の悲劇を暗示しています。例えば、占い師がシーザーに「3月15日に気をつけよ」と警告したり、嵐の夜に不気味な出来事が起こったりします。
第二幕
第二幕では、暗殺計画が具体的に進行します。カシウスは、ブルータスを説得し、暗殺に加担させようとします。ブルータスは、シーザー個人の資質よりも、彼が王になることでローマが独裁政治に陥ることを恐れており、苦悩の末に暗殺を決意します。
一方、シーザーの妻カルプルニアは、夫が暗殺される夢を見て、元老院に行くのを止めるように懇願します。シーザーは当初、妻の願いを聞き入れようとしますが、デキウス・ブルータスに説得され、元老院に向かいます。
第二幕では、登場人物たちの心理描写が細かく描かれ、緊張感が高まります。特に、ブルータスの葛藤は、彼の高潔な人格と、共和主義への強い信念を浮き彫りにしています。
第三幕
第三幕では、元老院において、シーザー暗殺が実行されます。シーザーは、ブルータスを含む多数の議員たちに次々と刺され、息絶えます。
暗殺後、ブルータスは、民衆に対して、シーザーを殺したのはローマのためであると演説します。しかし、アントニーは、シーザーの遺体と遺言状を用いて巧みな演説を行い、民衆の怒りをブルータスたちに directedします。
第三幕は、劇のクライマックスであり、最も劇的な場面が展開されます。シーザー暗殺は、ローマの歴史における大きな転換点であり、後の内乱の引き金となります。
第四幕
第四幕では、シーザー暗殺後、ローマは内乱状態に陥ります。アントニー、オクタヴィウス、レピダスは、第二回三頭政治を結成し、ブルータスやカシウスらと対立します。
ブルータスとカシウスは、フィリッピでアントニー、オクタヴィウスの軍隊と激突します。その前夜、ブルータスは、シーザーの亡霊を目撃します。
第四幕では、内乱の混乱と悲惨さが描かれるとともに、登場人物たちの運命が大きく動き始めます。
第五幕
第五幕では、フィリッピの戦いが描かれます。カシウスは、戦況が不利になったと思い込み、自害します。ブルータスもまた、敗北を悟り、自らの剣に身を投げて死を選びます。
劇の最後で、アントニーは、ブルータスを「最も高潔なローマ人」と呼び、その死を悼みます。
第五幕は、劇の結末であり、登場人物たちの死によって、悲劇は完結します。シーザー暗殺は、最終的には、ローマに平和をもたらすどころか、更なる混乱と流血をもたらしたことが示唆されます。