シェイクスピアのシンベリンの関連著作
ジェフリー・オブ・モンマス著「ブリタニア列王史」
「シンベリン」の筋書きと登場人物の多くは、12世紀にジェフリー・オブ・モンマスが著した「ブリタニア列王史」に由来しています。この作品は、ブルータスに始まる古代ブリテン王の伝説的な歴史を綴ったもので、歴史書というよりも文学作品と見なされています。ジェフリーは、シェイクスピアが「リア王」の題材としたリア王や、「キング・ Lear 」の登場人物の原型となったネンニウスなど、他のシェイクスピア作品に登場する人物についても言及しています。
「ブリタニア列王史」では、シンベリンはキンベリヌスという名前で登場し、アウグストゥス帝政期のブリテンの王として描かれています。ジェフリーの記述によると、キンベリヌスはローマと同盟を結んでおり、ローマ皇帝に貢納を拒否したことでローマと対立した息子のグイデリヌスとは対照的です。シェイクスピアの「シンベリン」におけるキンベリヌスと息子の関係は、この歴史的記述とは異なります。ジェフリーの作品におけるキンベリヌスは、シェイクスピアの劇における人物よりも力強く、英雄的な人物として描かれています。
シェイクスピアは「シンベリン」の筋書きを構成する上で、「ブリタニア列王史」からいくつかの要素を取り入れています。例えば、劇中のキンベリヌスとローマの関係、ポステュマスとイノジェンの結婚、ローマの侵略に対するブリテン人の抵抗などです。しかし、シェイクスピアはこれらの要素を自由に脚色し、劇的な効果を高めるために独自の登場人物や筋書きを追加しています。