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シェイクスピアのシンベリンの原点

シェイクスピアのシンベリンの原点

シンベリンの題材源

シンベリンの物語は、シェイクスピアが複数の資料から引き出したものです。主な題材源は以下の通りです。

* **ホリンシェッドの年代記**: イギリスの歴史家ラファエル・ホリンシェッドの「イングランド、スコットランドおよびアイルランドの歴史年代記」は、シンベリン、キンベライン、ベラリアスの物語の骨格を提供しました。しかし、シェイクスピアはホリンシェッドの物語を大幅に変更しており、特にイアキーモとポスタマス、そして王妃とクローテンの策略に関する部分は大きく脚色しています。

* **ボッカッチョのデカメロン**: ポスタマスとイアキーモの賭け、そしてイモージェンの貞淑の証としての指輪の使用は、ボッカッチョの「デカメロン」の第2日譚第9話に由来する可能性があります。この物語は、シェイクスピアの時代には広く知られていました。

* **その他の題材**: 劇中のいくつかの要素は、他の作品からの影響も示唆されています。たとえば、イモージェンが男装して放浪する場面は、ロマンティックな物語によく見られるモチーフであり、シェイクスピア自身の「お気に召すまま」や「十二夜」にも登場します。また、劇中の洞窟に住むベラリアスと二人の息子の物語は、フィリップ・シドニーの「アーケイディア」との類似点が指摘されています。

シェイクスピアの脚色

シェイクスピアは、これらの題材を自由に組み合わせ、再構成し、独自の登場人物やエピソードを付け加えることで、「シンベリン」という複雑で多層的な作品を作り上げました。特に注目すべきは、登場人物の心理描写の深み、喜劇と悲劇、ロマンスと政治的陰謀の巧みな融合、そして許しと和解のテーマの強調などです。

シェイクスピアは、既存の物語を単に借用するのではなく、それらを独自の視点と才能で昇華させ、時代を超えて愛される傑作を生み出したのです。

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