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シェイクスピアのコリオレイナスを読む

シェイクスピアのコリオレイナスを読む

登場人物

* **カイアス・マーシアス(コリオレイナス)**: ローマの偉大な将軍だが、高慢で、一般大衆を軽蔑している。そのせいでローマから追放されるが、のちに復讐のために敵であるボルシア軍を率いてローマに進軍する。
* **メニーニアス・アグリッパ**: コリオレイナスの友人であり、ローマの元老院議員。
* **ヴォラムニア**: コリオレイナスの母親で、息子に野心と戦士としての成功を強く望んでいる。
* **ヴァージリア**: コリオレイナスの妻で、優しく慎ましい女性。
* **タラス・オーフィディアス**: ボルシアの将軍で、コリオレイナスの宿敵。

あらすじ

物語は、食糧不足に苦しむローマ市民たちが、自分たちを弾圧している貴族たちに反旗を翻すところから始まります。中でも、傑出した将軍でありながら平民を見下すカイアス・マーシアスは、市民の激しい怒りを買います。彼は戦功によって「コリオレイナス」の称号を与えられますが、執政官選挙への立候補を平民の承認を得られずに挫折し、怒りを爆発させます。これを口実に、政敵たちは彼を追放し、コリオレイナスは失意のうちにローマを去ります。

復讐に燃えるコリオレイナスは、宿敵であるボルシアの将軍タラス・オーフィディアスと手を組み、ローマへの侵攻を開始します。ローマはコリオレイナスの軍門に下り、かつて彼を拒絶した民衆は恐怖に震えます。ローマは使節を送り、コリオレイナスに和解を懇願しますが、彼は聞き入れようとしません。

そこで、母親のヴォラムニア、妻のヴァージリア、そして息子を伴ったメニーニアスが、コリオレイナスのもとを訪れます。ヴォラムニアは息子の心を動かそうと、ローマへの愛を訴え、彼のプライドと復讐心を捨てさせようとします。コリオレイナスは母親の言葉に心を揺さぶられ、ついにローマへの攻撃を中止することを決意します。

しかし、この決断はコリオレイナス自身を破滅へと導きます。ボルシアに戻った彼を待っていたのは、裏切り者の汚名と、怒りに燃えるオーフィディアスによる非業の死でした。

テーマ

* **野心と名誉**: コリオレイナスは、野心と名誉を何よりも重んじる人物として描かれています。彼は戦場での栄光を渇望し、そのために命を懸けることも厭いません。しかし、彼の名誉への執着は、同時に彼の最大の弱点でもあります。
* **政治と民衆**: コリオレイナスは、平民を軽蔑し、政治を汚れたものと見なしています。彼は、民衆の支持を得るために自らの信念を曲げることを拒み、そのために政治的な成功を収めることができません。
* **母と息子**: コリオレイナスと彼の母親ヴォラムニアの関係は、物語の中心的なテーマの一つです。ヴォラムニアは息子を深く愛していますが、同時に彼に過剰な期待を押し付けています。コリオレイナスは、母親の期待に応えようと苦悩し、それが彼の悲劇につながっていきます。
* **復讐と許し**: コリオレイナスは、ローマから追放されたことで復讐心を燃やし、それが彼を破滅へと導きます。一方、彼の母親や妻は、許しと和解の重要性を訴えます。
* **言葉の力**: コリオレイナスは、雄弁な人物として描かれていますが、同時に言葉によって自身を窮地に追い込むことも少なくありません。彼は自分の感情を率直に表現しすぎるため、周囲の人々を傷つけ、敵意を買ってしまいます。

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