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シェイクスピアのコリオレイナスの比喩表現

## シェイクスピアのコリオレイナスの比喩表現

比喩表現1:飢えた腹の比喩

劇中で繰り返し登場する飢餓と食の比喩表現は、ローマの民衆と貴族、特にコリオレイナスと民衆との間の不安定な関係を象徴しています。

* **「汝等(なんじら)が種族の腹を満たすために。」** (第一幕第一場)

この有名な一節で、コリオレイナスは民衆を「腹」と呼び、彼らを単なる肉体的欲求に突き動かされる存在として軽蔑しています。彼にとって、民衆は理性や判断力に欠け、ただ食べ物を与えられれば満足する存在なのです。

* **「ローマはわれらの腹、われらはその口なり。」** (第一幕第一場)

民衆自身もまた、食の比喩を用いて自分たちの窮状を訴えます。この言葉は、ローマの繁栄にとって自分たちの存在が不可欠であることを主張していますが、同時に彼らの要求が物質的なものに偏っていることも示唆しています。

比喩表現2:コリオレイナスを動物にたとえる表現

コリオレイナスは、その激しい気性と妥協を許さない性格から、しばしば動物にたとえられます。

* **「彼の勇気は飢えた虎の如し。」** (第四幕第七場)

アウフィディウスは、敵対者となったコリオレイナスを「飢えた虎」と呼び、その戦闘能力と容赦のなさを強調しています。

* **「あの鷲の子、コリオレイナスを。」** (第五幕第三場)

ここでは、彼の母親ヴォлумニアが、コリオレイナスを「鷲の子」と呼んでいます。これは、彼の気高さや勇敢さを称える言葉であると同時に、彼の孤立や他人との断絶をも暗示しています。

比喩表現3:ローマという身体の比喩

劇中では、ローマをひとつの「身体」としてとらえ、その調和と健全さを強調する比喩表現も頻繁に登場します。

* **「国家の身体はかくのごとく病めるなり。」** (第三幕第一場)

メンニウスは、コリオレイナスと民衆との対立によってローマが混乱に陥っている様子を、「病める身体」にたとえています。

* **「ローマはもはやローマにあらず。」** (第四幕第五場)

コリオレイナスがローマを追放された後、シシニアスはこの言葉で、ローマが重要な一部を失い、もはや完全な存在ではなくなったことを嘆いています。

これらの比喩表現は、シェイクスピアの巧みな言語表現の一端を示すものであり、『コリオレイナス』のテーマをより深く理解するための重要な手がかりを与えてくれます。

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