## シェイクスピアのコリオレイナスの分析
主な登場人物
* **カイアス・マーシアス（後のコリオレイナス）**: ローマの将軍であり、劇の主人公。並外れた武勇を持つが、傲慢で民衆を軽蔑しているため、やがて彼らの怒りを買い、破滅へと追いやられる。
* **ヴォラムニア**: コリオレイナスの母。息子に強い影響力を持つ、高貴で気高い女性。ローマへの愛国心を息子に教え込むが、それが皮肉にも息子の破滅の一因となる。
* **アウフィディウス**: ヴォルサイ軍の将軍であり、コリオレイナスの宿敵。コリオレイナスを憎悪しているが、その能力を高く評価しており、後に彼を利用しようと目論む。
* **メニニアス・アグリッパ**: ローマの元老院議員で、コリオレイナスの良き理解者。コリオレイナスと民衆の間を取りなそうとするが、彼の頑なな性格の前に失敗する。
舞台と時代背景
古代ローマ共和国、紀元前5世紀。舞台は主にローマと、ローマと敵対する都市国家ヴォルサイの間を行き来する。
あらすじ
物語は、深刻な食糧難に見舞われたローマで、民衆が貴族に対して反乱を起こそうとしているところから始まる。民衆の怒りの矛先は、彼らを軽蔑する傲慢な将軍、カイアス・マーシアスに向けられる。
マーシアスはヴォルサイとの戦いで武勲を立て、「コリオレイナス」の称号を与えられる。しかし、その過程で民衆の声を無視したことが仇となり、彼らの怒りをさらに買うこととなる。
ローマに帰還したコリオレイナスは、執政官の地位に就くことを求められる。しかし、そのためには民衆の支持を得る必要があった。コリオレイナスは渋々ながら民衆の前で頭を下げるが、その態度は傲慢であり、民衆の怒りを鎮めるどころか、さらに燃え上がらせてしまう。
結局、コリオレイナスは民衆の投票によってローマを追放される。失意のコリオレイナスは宿敵アウフィディウスを頼ってヴォルサイに亡命し、ローマへの復讐を誓う。
コリオレイナスはヴォルサイ軍を率いてローマに侵攻し、ローマ軍を圧倒する。ローマはコリオレイナスに降伏を申し入れるが、彼は一切の交渉を拒否する。
窮地に陥ったローマは、コリオレイナスの母ヴォラムニアと妻、そして息子を彼の元へ送り、説得を試みる。ヴォラムニアの言葉に心を動かされたコリオレイナスは、ローマへの攻撃を中止する決断を下す。
しかし、その決断はアウフィディウスの裏切りを招き、コリオレイナスはヴォルサイの地で非業の死を遂げる。
テーマ
* **誇りと傲慢**: コリオレイナスの悲劇は、彼の並外れた能力と同時に、その傲慢さによって引き起こされた。
* **名誉と義務**: コリオレイナスは己の信念と名誉を何よりも重んじる人物であり、それが彼の行動原理となっている。
* **政治と民衆**: 食糧難や政治腐敗など、古代ローマ社会における政治と民衆の関係が描かれている。
* **母と息子**: コリオレイナスと母ヴォラムニアの関係は、劇全体を通して重要なテーマとなっている。