シェイクスピアの『マクベス』の秘密
マクベス夫人の野望
マクベス夫人は劇中で最も複雑で興味深い人物の一人です。彼女は夫に王になるようにけしかけ、その野心はマクベス自身の野心を凌駕しているように見えます。しかし、彼女の動機は単純な権力欲だけではないようです。彼女はまた、マクベスを愛しており、彼が偉大な人物になれると信じてもいます。彼女は、彼が王になるためには「偉大さへの刺激」が必要だと考えており、その刺激を与えるのが自分の役割だと考えています。
魔女の予言の曖昧性
魔女の予言はマクベスの行動を決定づける重要な要素ですが、その予言は意図的に曖昧です。例えば、マクベスは「コーダーの領主となり、やがて王になる」と予言されますが、それがどのようにして起こるのか、また彼がどのような行動を取ればよいのかは明確に示されていません。この曖昧さは、マクベス自身の野心とマクベス夫人の影響と相まって、彼の破滅へとつながっていきます。
マクベスの心の葛藤
マクベスは単なる悪役ではなく、善と悪の間で葛藤する複雑な人物として描かれています。彼は王を殺すことに対して罪悪感と恐怖を感じており、その罪悪感は劇が進むにつれて彼を蝕んでいきます。一方で、彼は野心家で、権力と栄光を渇望しています。この心の葛藤が、マクベスを悲劇的な英雄たらしめている要因の一つと言えるでしょう。