## シェイクスピアの「二人のいとこの貴公子」の思考の枠組み
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名誉と名声
「二人のいとこの貴公子」では、名誉と名声が主要なテーマとして繰り返し登場します。劇中の登場人物、特に男性貴族たちは、戦場での勇敢な行動や宮廷での洗練された立ち振る舞いを通して、名誉と名声を獲得することに執着しています。
例えば、アラゴン家の二人の公子、パラモンとアーサイトは、アマゾンの女王ヒポリタとの戦いで勇敢に戦い、その武勇によってテーベの人々から賞賛を浴びます。しかし皮肉なことに、二人は捕虜となり、テーベの牢獄に囚われの身となります。
この状況は、名誉と名声が、必ずしも個人の自由や幸福と一致しないことを示唆しています。また、劇中では、名誉と名声を得るための競争が、時に嫉妬や憎悪、さらには暴力へと発展する様子も描かれています。
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愛と欲望
もう一つの重要なテーマは、愛と欲望です。パラモンとアーサイトは、牢獄の窓からエミーリアの姿を垣間見て、たちまち恋に落ちます。二人のいとこ同士の友情は、エミーリアへの愛によって試され、やがて激しい対立へと発展していきます。
この三角関係は、愛と欲望の複雑さを浮き彫りにします。愛は、高潔な感情として描かれる一方で、嫉妬や独占欲といった暗い側面も持ち合わせています。劇中では、愛と欲望が、登場人物たちの行動や運命を大きく左右する様子が描かれています。
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運命と自由意志
「二人のいとこの貴公子」は、運命と自由意志の対比も探っています。登場人物たちは、自身の意志で行動しているように見えますが、同時に、運命の糸に操られているかのような描写も散見されます。
例えば、パラモンとアーサイトは、エミーリアをめぐって争いますが、彼らの運命は、最終的には神々の決闘によって決定されます。これは、人間の自由意志は、運命の力の前には無力であることを示唆しているとも解釈できます。
劇中では、運命と自由意志の関係が明確に提示されることはありません。むしろ、観客は、登場人物たちの選択と、彼らを取り巻く運命的な状況との複雑な絡み合いを目の当たりにすることになります。