## シェイクスピアの「リチャード三世」の思考の枠組み
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リチャードの自己認識
リチャードは、自身の肉体的特徴、特に生まれつきの障害について非常に自意識過剰であり、これを自己嫌悪と結びつけています。劇の冒頭で彼は自らを「醜悪な塊」と呼び、自身の歪んだ姿が周囲から嫌悪され、愛されることから遠ざけていると信じています。
> 今は、冬の不快な時代、
> ヨークの息子が太陽を浴びて王冠を戴くとき、
> 私は不具で、形が崩れていて、
> 時期尚早にこの呼吸する世界に送られ、
> 半分も作られることなく、ひどく未完成で、
> 犬を怖がらせるほど醜く、
> 母親でさえほとんど耐えられないほど歪んでいる。
この自己嫌悪は、権力への渇望と、世界を操作して自分の意志に従わせるという決意の原動力となっています。彼は、生まれながらに与えられなかった愛、賞賛、権力を、狡猾さと無慈悲な野心によって獲得しようとします。
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リチャードの策略と操作
リチャードは、卓越した言語能力と人心掌握術を持つ、狡猾な策略家として描かれています。彼は言葉を使って他人を欺き、誘惑し、操作し、自分の目的を達成するために彼らを操ります。
彼の策略の最も顕著な例は、レディ・アンとのやり取りに見られます。彼は、彼女の夫と義父を殺害した張本人であるにもかかわらず、巧みな言葉と偽りの魅力で彼女を口説き落とし、最終的には結婚に同意させます。
> あなたの美しさは、私の剣に赦免を請う、
> そして私の心に死の打撃を与えた。
リチャードは、観客に向かって独白を行い、自分の計画を明かし、自身の邪悪な本性を明らかにします。これらの独白を通して、観客は彼の操作的な性質と、権力を達成するための冷酷な決意を直接垣間見ることができます。
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リチャードの良心
リチャードは悪役として描かれていますが、彼の良心は完全に欠如しているわけではありません。劇が進むにつれて、彼は自らの悪行に対する罪悪感とパラノイアに悩まされるようになります。
彼が王位に近づくにつれて、彼を悩ませる幽霊のビジョンは、彼の罪悪感の増大と、自分の行動の結果に対する恐怖を象徴しています。これらの瞬間は、リチャードの人間性を垣間見せ、悪意と心の葛藤との間の内なる葛藤を明らかにします。
> 冷酷な良心の責め苦に苛まれ、
> 私は自分自身を恐れている。
リチャードの良心の苦しみは、彼の悪行を正当化し、自身の行動の結果から逃れようとする、必死の試みと対照的です。