## シェイエスの第三身分とは何かの周辺
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フランス革命期の社会構造
18世紀後半のフランスは、絶対王政のもと、身分制社会と呼ばれる厳格な社会構造を持っていました。この社会は、大きく分けて第一身分(聖職者)、第二身分(貴族)、第三身分(平民)の3つに分けられていました。
* **第一身分(聖職者)**: 人口比では最も少なかったものの、広大な土地と免税特権を持ち、大きな政治的影響力を持っていました。
* **第二身分(貴族)**: 世襲で特権が保証されており、高級官僚や軍の幹部といった要職を独占し、免税特権などの特権を享受していました。
* **第三身分(平民)**: 人口の大部分を占めていましたが、聖職者と貴族に比べて重い税負担や社会的な不利益を強いられていました。
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シェイエスと「第三身分とは何か」
1789年1月、フランス国王ルイ16世は、財政危機を打開するために、三部会を招集しました。三部会とは、各身分の代表者が会合する政治体制でしたが、1614年以降、招集されていませんでした。
第三身分の出身で、聖職者であったエマニュエル・ジョセフ・シェイエス(1748-1836)は、この三部会招集を機に、パンフレット「第三身分とは何か」を著し、大きな反響を呼びました。
このパンフレットの中でシェイエスは、第三身分こそが「すべて」であり、「国家に他ならない」と主張しました。そして、特権を持つ第一身分と第二身分を激しく批判し、第三身分の政治参加の拡大と社会の変革を訴えました。
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「第三身分とは何か」の影響とその後
「第三身分とは何か」は、当時のフランス社会に大きな衝撃を与え、国民意識の高まりに貢献しました。このパンフレットはベストセラーとなり、フランス全土に広まり、人々に大きな影響を与えました。
シェイエスの主張は、第三身分の政治意識を高め、国民議会結成の動きを加速させました。そして、同年7月14日にフランス革命が勃発します。シェイエス自身も国民議会に参加し、フランス革命において重要な役割を果たしました。