## サン・シモンの産業者の教理問答の関連著作
オーギュスト・コント『実証哲学講義』
サン・シモンの弟子であったコントは、『実証哲学講義』(1830-42) において、師の思想を継承しつつ、独自の体系を構築しました。
コントは、人間の思考は、神学的段階、形而上学的段階を経て、実証主義的段階へと発展すると説きました。
実証主義とは、観察や実験、経験に基づいて知識を追求する態度を指します。
サン・シモンが「産業階級」による社会の再編成を構想したのに対し、コントは科学者による社会の指導を提唱しました。
彼は、社会学を「社会全体の研究」として確立し、社会現象を科学的に分析することを目指しました。
エミール・デュルケーム『自殺論』
デュルケームは、コントの実証主義を継承し、社会学を独自の学問分野として確立した社会学者です。
彼の著書『自殺論』(1897) は、一見個人的な行為である自殺を、社会学的視点から分析した先駆的な研究として知られています。
デュルケームは、自殺率と社会の統合度や規制の度合いとの間に相関関係を見出し、社会構造が個人の行動に影響を与えることを示しました。
これは、サン・シモンやコントが重視した、社会全体の秩序と調和というテーマに通じるものです。
カール・マルクス『資本論』
マルクスは、サン・シモンやコントとは異なり、資本主義社会の矛盾を批判的に分析し、革命による共産主義社会の実現を構想しました。
彼の主著『資本論』(1867-94) は、資本主義経済の構造を分析し、労働者階級の搾取のメカニズムを明らかにしたものです。
マルクスは、サン・シモンが重視した産業や技術の力を認めつつも、それが資本家階級の利益のために利用されていると批判しました。
そして、労働者階級が生産手段を掌握し、階級のない社会を実現する必要性を説きました。
これらの著作は、いずれもサン・シモンの思想から影響を受けつつ、独自の展開を見せています。
サン・シモンが提起した産業社会の課題や社会秩序のあり方は、その後の社会思想や社会科学の発展に大きな影響を与え続けました。