## サン・シモンの産業者の教理問答の発想
サン・シモンの社会観
サン・シモン（1760-1825）は、フランス革命期から復古王政期にかけて活躍した思想家であり、社会主義の先駆者の一人として知られています。彼は、社会を「怠惰階級」と「産業階級」の二つに明確に分けました。
怠惰階級
サン・シモンが「怠惰階級」と呼んだのは、聖職者や貴族といった特権階級を指します。彼らは、労働に従事することなく、社会の富を独占しているとサン・シモンは批判しました。
産業階級
一方、「産業階級」は、科学者、技術者、商人、労働者など、実際に社会に役立つ生産活動に従事する人々を指します。サン・シモンは、産業階級こそが社会の中心であり、彼らによって社会は発展すると考えました。
産業者の教理問答の目的
「産業者の教理問答」（1823-24年）は、対話形式を用いることで、産業階級の重要性を人々に分かりやすく説き、彼らを啓蒙することを目的として書かれました。
教理問答という形式
「教理問答」という形式を採用したのも、読者に語りかけ、理解を促す効果を狙ってのことです。問答形式を用いることで、複雑な社会問題を分かりやすく解説し、産業階級の優位性を明確に示そうとしました。