サルトルの弁証法的理性批判の感性
サルトルにおける感性の位置づけ
サルトルは、主著『存在と無』において現象学的立場から出発し、意識の構造を明らかにしました。意識は常に何かに向かっており、それ自体としては空虚な存在として捉えられます。この意識の働きを「志向性」と呼びます。
実存主義と感性
サルトルの実存主義において、「実存は本質に先立つ」という言葉は有名です。人間は、あらかじめ決められた本質を持たずに、自由に存在を選択します。感性はこの自由な存在選択と深く関わっており、世界と関わり、意味を構築する上での基礎となります。
身体性と感性
サルトルは、デカルト的な心身二元論を批判し、身体と意識の不可分性を強調しました。感性は、身体を通して世界を体験し、意味を与えるための重要な働きを担います。
感性と他者
サルトルは、他者の存在が自己の意識に根本的な影響を与えることを主張しました。「見られる存在」としての自己は、他者の視線によって客体化され、自己の自由が脅かされる経験をします。感性は、この他者との関係においても重要な役割を果たします。
感性と歴史性
『弁証法的理性批判』において、サルトルは個人の実存を超えて、歴史や社会における人間の活動を理解しようと試みました。感性は、単に個人の主観的な経験にとどまらず、歴史や社会との関係性の中で捉えられます。