サルトルの存在と無の企画書
企画概要
**企画名:** 存在と無: 現象学的存在論の試み
**著者:** ジャン＝ポール・サルトル
**企画趣旨:** 本書は、現象学の方法を用いて、人間の存在の本質を探求するものである。伝統的な形而上学が、「本質」を「存在」に先立つものとしてきたことに対し、我々は、人間においては「存在」が「本質」に先立つことを明らかにする。そして、この「存在が本質に先立つ」ということの含意を、自由、責任、虚無、不安、対人関係といった人間の根本問題に照らし合わせて明らかにしていく。
執筆背景
現象学は、エドムント・フッサールによって創始された、意識とその対象との相関関係を記述する哲学的方法である。サルトルは、フッサールの思想を継承しつつも、それを人間の存在論へと展開することを目指す。
構成案
**第一部: 存在論への序論**
* 意識の現象学：フッサールの現象学を概説し、意識の「志向性」という概念を解説する。
* 無化作用としての意識：意識は、対象を「無化」することによって、対象を意識にのぼらせていることを明らかにする。
* 現象と実存：現象と実存の違いを明確化し、現象を超えた実存の領域へと考察を進める。
**第二部: 我々と無**
* 無の起源：意識の無化作用を通じて、世界に「無」が出現することを明らかにする。
* 虚無と自由：人間の存在は、本質的に無であり、それゆえに自由であることを論じる。
* 不安と責任：自由であることの責任と、その責任から生じる不安について考察する。
**第三部: 我々と他者**
* 他者のまなざし：他者の存在によって、自己は客体化され、自己の自由は制限されると論じる。
* 愛、憎しみ、無関心：対人関係における様々な感情を、他者との関係性の中で分析する。
* 共同体と集団：個人と他者との関係から、共同体や集団のあり方について考察する。
想定読者
* 哲学、特に現象学や実存主義に関心のある読者
* 人間の存在の意味や自由について深く考えたいと考える読者
* 現代社会における人間のあり方について考察を深めたいと考える読者
期待される成果
* 人間の存在の本質についての新たな視点を提供する。
* 自由と責任、虚無と不安といった人間の根本問題について考察を深める。
* 対人関係や社会における人間のあり方について新たな理解を促す。
その他
本書は、難解な哲学書として知られることになるが、平易な言葉を用いるなど、できる限り多くの読者に届くように努める。