Skip to content Skip to footer

サリンジャーのフラニーとズーイの話法

サリンジャーのフラニーとズーイの話法

フラニー

「フラニー」は、主にフラニーの一人称視点で語られます。彼女の思考や感情、周囲の人々に対する辛辣な観察を通して、物語は展開していきます。

サリンジャーは、フラニーの内面を描き出すために、自由間接話法を駆使しています。これは、三人称でありながら、登場人物の主観的な視点を反映した語りを指します。例えば、レーンとの会話で、フラニーは彼の言葉尻を捉え、その表面的な態度に嫌悪感を抱きますが、これは直接的に描写されるのではなく、読者はフラニーの思考を通して間接的に理解します。

また、「フラニー」では、彼女の精神的な不安定さを強調するために、意識の流れの技法が用いられています。これは、論理的な繋がりが希薄なまま、思考や感情、感覚を断片的に描写する手法です。レストランでのシーンや、レーンとの会話の中で、フラニーの思考は現実と空想の間を彷徨い、彼女の精神状態を浮き彫りにします。

ズーイ

一方、「ズーイ」は、ズーイの一人称視点と、彼とフラニーの電話での会話という、より限定された語り口が用いられています。

ズーイの語り口は、フラニーに比べて冷静で客観的ですが、彼自身の不安や家族に対する複雑な感情が、皮肉やユーモアを交えながら表現されます。特に、母親との電話でのやり取りは、彼の家族に対する愛憎入り混じった感情を如実に表しています。

電話での会話は、二人の声のみを通して展開されるため、読者は彼らの声色や間合い、言葉の選択から、それぞれの感情を読み取ることになります。特に、フラニーの不安定な精神状態と、ズーイの彼女を落ち着かせようとする努力が、会話の端々から伝わってきます。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5