## サリンジャーのフラニーとズーイの技法
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視点
「フラニー」は、レーンがガールフレンドのフラニーと週末を過ごすためにイェール大学にやって来る場面から始まります。物語は、主にレーンの視点から、フラニーの精神状態の悪化と宗教的な書物「巡礼者の道」への傾倒を描写します。
「ズーイ」では、視点がレーンからズーイに移ります。物語は、フラニーが精神的に不安定な状態から立ち直ろうとする様子を、ズーイの視点を通して描いています。
このように、サリンジャーはこの作品において、二人の登場人物それぞれの内面世界を深く掘り下げるために、視点の変化という技法を用いています。
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対話
サリンジャーは、登場人物たちの内面世界を描き出すために、対話を効果的に用いています。特に、「フラニー」におけるレーンとフラニーのレストランでの長い会話は、フラニーの精神状態や宗教に対する考え方を浮き彫りにする重要な役割を果たしています。
また、「ズーイ」では、ズーイとフラニー、ズーイと母親の電話での会話を通して、家族間の複雑な関係や、彼らが抱える問題が明らかになっていきます。
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象徴主義
サリンジャーは、「フラニーとズーイ」の中で、様々な象徴を用いて登場人物たちの内面世界やテーマを表現しています。
例えば、「巡礼者の道」は、フラニーの精神的な探求と救済への渇望を象徴しています。また、ズーイが母親との電話で語る「太ったレディ」の話は、外見や社会的な成功にとらわれない、真の幸福や心の平安の重要性を象徴的に示唆しています。
これらの象徴は、物語に深みを与え、読者に解釈の余地を残す役割を果たしています。