サミュエルソンの経済学の主題
サミュエルソンの経済学における主要な主題
ポール・サミュエルソンの経済学は、新古典派経済学の考え方を基に、経済分析に数学的な手法を積極的に導入したことが特徴です。彼の貢献は多岐に渡りますが、主要な主題として下記が挙げられます。
1. 静学的分析と均衡分析
サミュエルソンは、市場における需要と供給の相互作用によって価格が決定され、資源配分が行われるという市場メカニズムの分析に重点を置きました。特に、ミクロ経済学においては、完全競争市場における企業の行動や消費者の選択を数学的にモデル化し、市場均衡における効率性について分析を行いました。
2. マクロ経済学における国民所得決定理論
サミュエルソンは、ケインズ経済学を体系化し、国民所得決定理論を構築しました。彼は、消費、投資、政府支出などの経済活動水準を決定する要因を分析し、乗数効果や加速効果といった概念を導入することで、景気循環のメカニズムを説明しようとしました。また、財市場と貨幣市場の相互作用を分析するIS-LMモデルは、彼の貢献なくしては語れません。
3. 福祉経済学
サミュエルソンは、資源配分の効率性と社会全体の厚生との関係に関心を持ち、パレート最適や社会厚生関数といった概念を用いて、政府の役割や政策の評価基準について論じました。彼は、市場メカニズムの限界を認めつつも、政府による適切な介入によって、より公平で効率的な資源配分が可能になると考えました。
4. 国際経済学
サミュエルソンは、国際貿易における比較優位論を発展させ、国際分業と貿易による経済厚生への影響を分析しました。また、為替レートや国際資本移動といった問題についても、積極的に分析を行いました。
5. 動学的分析
サミュエルソンは、経済変数の時間を通じた変化を分析する動学的分析の手法を経済学に導入しました。特に、投資行動や経済成長理論において、数学的なモデルを用いて動学的な分析を行うことの重要性を強調しました。
これらの主題は相互に関連しており、サミュエルソンの経済学は、ミクロ経済学とマクロ経済学、静学的分析と動学的分析、理論と政策を統合的に扱う総合的な経済学を目指したものと言えるでしょう。