サッカレーのヘンリー・エズモンドの話法
語り手について
サッカレーの『ヘンリー・エズモンド』は、一人称視点で語られます。語り手は、作中の主人公ヘンリー・エズモンド自身です。
文体について
小説の文体は、18世紀の英語を模倣した、やや古風で形式ばったものです。これは、物語の舞台が18世紀初頭であることに加え、エズモンド自身の生い立ちと教養を反映しています。
語りの視点について
一人称視点で語られるため、読者はエズモンドの主観を通して物語を体験します。 彼の思考、感情、経験が直接的に語られますが、他の登場人物の心の内は推測するしかありません。 このため、読者はエズモンドの解釈に頼ることになり、彼の偏見や限界も受け入れる必要があります。
時間の流れについて
小説は、エズモンドの回想という形で語られます。彼は過去の出来事を振り返りながら、物語を現在形のように描写します。そのため、読者はエズモンドと共に時間を遡り、彼の目を通して過去の出来事を追体験することになります。
その他の特徴
* **詳細な描写**: サッカレーは、人物、場所、風俗、習慣などを非常に詳細に描写することに長けています。 これにより、読者は18世紀のイギリス社会に没入することができます。
* **皮肉とユーモア**: サッカレーは、人間の本質や社会の矛盾を鋭く見抜き、皮肉とユーモアを交えて描きます。 エズモンドの語り口にも、皮肉やユーモアがちりばめられています。
* **歴史小説としての側面**: 『ヘンリー・エズモンド』は、18世紀初頭のイギリスを舞台にした歴史小説でもあります。 作中には、当時の歴史的事件や人物が登場し、リアリティを高めています。